リードタイムの大幅な短縮とコスト削減をWorkNCで実現1999年、「日産リバイバルプラン」を掲げ大胆なコスト削減やリストラ策を次々と打ち出し、深刻な経営危機から「奇跡の復活」を遂げた日産自動車。
カルロス・ゴーン社長のリーダーシップのもとでなしえた「ゴーン革命」を支えていたのは、長年培われてきた生産現場の優れた技術力だ。9月には新車6車種を同時発表という異例の戦略を発表。その勢いは現在もとどまるところを知らない。今回訪問したのは、国内外問わず、同社の全ての生産工場に金型を提供する、まさにものづくりの要である生麦工場だ。
世界のNISSAN車の金型を一手に担う生麦工場生麦工場は、車のエンジン部品、シャーシ、バンパー、足回りを中心に主要な部品は全て日産で内製、日産の各生産工場に金型を提供しており、日産車を担う金型の要となる工場で、生産における重要拠点となっている。
WorkNCは日本国内ではこの生麦工場の他、厚木、いわき工場など計16台、イギリス工場など海外の工場でも導入されている。生麦工場では鋳型部門で2台と樹脂型部門で5台計7台のWorkNCがフル活用されている。
鋳型部署での導入事例を中心に、パワートレイン生産技術本部 成形技術部 型設計グループ主査 松本文雄氏と、同成形技術部 型製作課 係長 本間紀美夫氏にお話を伺った。

▲生麦工場
--計算時間は20%減、全体の工数も1/3に削減に成功--
「導入のきっかけからお話いただけますか?」松本氏「WorkNCを検討しだしたのはちょうど4年前くらいでした。当時は自社製のCAMシステムを使っていましたが、開発スピード、開発費用に対して効果が伴わないことなどが問題となり市販の高性能なCAMシステムを検討することになりました。
当時会社から強く要求されていたのは、もちろん生産性向上でしたが、中でも機械加工の準備時間の削減、つまり加工データ作成時間の削減が最重要課題として挙げられました。当時は、部全体のデータ授受から加工までの中で、データを出すための設定や演算時間といったNCデータの準備時間が半分以上を占めていたのです。
この準備時間の比率を下げるためにはNCデータ作成の自動化が必要でしたのでWorkNCのCAM作業の「自動化」はとても魅力的でした。それに3次元からの平面自動認識、削り残し領域の自動認識とその部位の等高線加工、素材形状の認識など我々が求めて開発していたものが既にWorkNCにはありました。」
本間氏「選定の決め手となったのは、演算時間はもちろんですが、トータル工数削減です。実は自社製のCAM 以外に、当時既に他の市販のCAMを2台使用していたのですが、WorkNCならどのパスも演算時間が平均20%ほど速く、オペレーションの工数も比べ物にならなかったです。類似形状を繰り返し使うような環境でしたら大差がでないかもしれないですが、うちみたいな一品一様で、常に一から加工データを作るような部署ではその差は歴然です。」

「導入にあたって、WorkNCをかなりカスタマイズしましたよね」工具データベースをはじめとしたカスタマイズ要望、問題のつぶしこみ等様々な打ち合わせを続け、1年後5台のWorkNCが鋳型と樹脂型の部署にそれぞれ2台、3台導入、運用が開始された。
松本氏「生麦工場ではWorkNCを単独のシステムとして導入するわけではなく、日産の生産プロセスの中の一つとして相乗効果を出せる導入が出来るようにすることもポイントのひとつでした。
社内で共有している工具データベースをWorkNCに直接適用させることもその取組みの一つでしたし、 CADデータの取り込みのルール化・自動化や、DNCへのデータ転送の自動化など、一連のプロセスの中で単体で使う以上の効率をあげることに成功しています。うちにあったシステムであることも導入のための大きな条件でした。」
「導入後、具体的にどれくらい時間は縮まりましたか?」本間氏「WorkNCは驚くほど操作が簡単なので覚えやすく、立ち上がりが早く、すぐ工数がそれまでの1/3にまで削減できました。これは大きな改善です。
通常、「CADデータが支給されたら何ヵ月以内で金型を作成するように」という決まりがあるのですが、要求される型製作期間は3年前と今とくらべればその時間は半分以下にまで下がっています。コストは半分どころではないですよ。工数削減・型製作時間短縮によるコスト削減は今も続く大きな課題です」
「上流の設計からデータはどのように受け取られますか?」本間氏:「現在、鋳型部門ではCADデータが100%データ支給です。もちろん図面は一切うけつけませんし、CADデータであっても不完全なものは一切受け付けません。昔のやり方を今持ち込むと、確実に作成コストが上がります。だったら、こちらから上流設計の部隊に型設計のスタッフを送り込んででも、CADデータを作りこんで、うちでは完全なデータで受け取ることにしています。
加工の条件は社内で標準化されていますから、設計の段階で加工要件にしたがって設計します。穴の部分でしたら色分け、形状わけ、穴の交差、数字で。これを反映させた100%データ支給、型設計のメンバーが上流設計の部隊にまじってデータ作成を行うことをもよくあります。これらを徹底することもコスト削減には重要です。」
「一貫したシステムですべてできるというのが理想ですが、そううまくはいかないので、業種別での使い分けもしますし、システムのいいとこどりというのも重要です。現在、形状部はWorkNCで、構造部は2次元専用のCAMを利用しています。」

「WorkNCへの要望を聞かせてください」本間氏:「私たちの金型製作工程では「仕上げ」も重要ですが、それよりも「荒加工」のパスでいかに思い通りのパスをつくれるか、いかに早く削れるか、ここがCAMのキーであり、CAMの差別化を図れる部分だと考えています。
特にうちのような鋳型だと難削材を削ることが多いんです。形状が複雑で材質が硬かったりねばっこかったりするような加工に最適でかつ早く削れる荒加工パスが欲しいんですが、とにかく荒加工は常に改善していってほしいですね」
「あと、アップカットが発生するとチップがかける。ダウンカットのパスを多く出したいのでエリアを大きめにとって計算させたりするんですが、それでもダメ。いや、誤解しないで下さいね。データ作成のチームはWorkNC導入でパス出しが楽になって喜んでるんですよ(笑)。 WorkNCは常に安全に速く削ろうとするパスを出すという思想があるので難しいとは思うんですけど、加工する側は常にダウンカットで削りたいんです。そういう要望多いでしょう?」
セスクワ「確かにそういうご要望はいただくことがあります。 WorkNC V18で対応予定で開発を進めています。βテスト版が出次第ご利用いただきたいと思っています。」
松本氏「今はNCviewを併用して使っていますが、これでほとんど干渉は回避できているのですが、本当は一つのシステムで一貫して形状も機械干渉も見られるといいですね。」
セスクワ「WorkNCと機械が直結し、WorkNCが保証したデータで機械がそのまま動作する、そんなシステムが理想ですね」
松本氏「最初に教育を受けてから大分たったし、WorkNCはOJTで覚えてもらってるのでWorkNCの機能を使いこなせていない部分も正直あります。教育を受ける必要ありますよね。そのときにうちはこういう方法で加工をしているんだけど今のバージョンだともっと効率いい方法があるかとか、そういう実践に即した応用教育が一番実践的でためになる」
本間氏「たとえば、工具メーカー・CAMメーカー・機械メーカーと三位一体になった意見交換を行ってみると面白いんじゃないかな。そこにユーザーが加わったミーティングをするとか、そういった新しい取組みなんかもどんどんやってほしいです。」
「最後に、WorkNCに一言お願いします」松本氏・本間氏「「オペレーションが簡単で、リードタイムが確実に短縮できる」、これ以上の誉め言葉はないですよ(笑)」
取材 :2004年秋
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